6月10日 第2回定例会

◆8番(井上ノエミ君) 新しいすみだの井上ノエミです。
 山本区長、よろしくお願いいたします。
 まず、山本区長は、最近の広報紙でも安全が基本とおっしゃっています。いつ来るか分からない地震や洪水に対する災害対策も大変重要です。また、区民が毎日の生活でさらされている危険があります。それは、交通事故です。私は、この問題をこれまでの定例会でも何度も取り上げました。そして、墨田区は、もっと真剣に対策をとるべきだと訴えてきました。その後、墨田区も努力されて、交通事故は減ってきているようです。
 しかし、警視庁の交通事故マップを見ると、江東区に比べるとまだまだ多いと思います。特に、本所地区では、私の地元の石原二丁目や三丁目が、事故が多い地域になっています。実際、私の住んでいるマンションの角の交差点では、半年に1回は交通事故が起こっています。一時停止を無視した車やオートバイが、たびたび事故を起こしています。この4月の事故では、車が歩道に乗り上げて、角の駐車場の塀を壊して、駐車している車3台を壊しました。幸いにも歩行者はいませんでしたが、もし人が歩いていたら、大きな事故になったと思われます。
 また、ここは外手小学校と二葉小学校の通学路です。大きな事故が起こる前にまず対策をとる、そのような区政を山本区長には実現していただきたいと思います。また、最近は、高齢者の交通事故が多くなっています。高齢者や子どもたちが事故の犠牲になる前に、是非徹底的に事故対策をとっていただきたいと思います。
 そこで、山本区長に、警視庁の交通事故マップをご覧になったことがあるか伺います。そして、墨田区の現状を見て、どのような感想を持ったかお伺いします。また、どのような対策をとるつもりかお伺いします。
 次に、住宅の火災警報器の設置についてお伺いします。
 2月の定例会でもお伺いしましたが、火災警報器は設置が義務になっています。しかし、本所消防署管内で80%、向島消防署管内で76%しか設置されていません。墨田区には、大変古い住宅が多いですから、漏電などによる火災は心配です。前回のご答弁では、高齢者世帯からの火災警報器の設置の申込みが少ないとのことです。しかし、高齢者の方が申込みするのを待たないで、設置されていない住宅を見つけて、無償で設置するべきと思います。是非、この問題にもっと真剣に取り組むべきと思いますが、山本区長のご見解をお伺いします。
 次に、子どもたちの問題について山本区長にお伺いします。
 山本区長は、子どもたちのための施策を重視するお考えだと思います。ちょうど教育委員会制度も変わります。区長の手腕を発揮するにはよいタイミングだと思います。またもう一つ、是非実現していただきたいのは、児童相談所の移管です。これは、現在東京都と検討中ですが、私は現在の児童福祉行政が多くの問題を抱えており、大きく改革する必要があると思います。そして、墨田区にそのリーダーとなっていただきたいと思います。
 例えば、ゼロ歳の赤ちゃんを親が育てられないときは、児童相談所によって80%の赤ちゃんは乳児院という施設に送られます。海外では、親が育てられない赤ちゃんは、里親が引き受けるのが普通です。日本のように、生まれたばかりの赤ちゃんを施設で育てる国は、先進国ではほとんどありません。乳児院で育った子どもは、両親との愛情関係がないので、偏った性格になりやすいと言われています。児童相談所が、里親に一人ひとりの赤ちゃんを依頼するのは、大変手間が掛かります。また、里親がちゃんと育てているかを見守る必要があります。したがって、赤ちゃんは乳児院に送ったほうが簡単です。また、乳児院も赤ちゃんがいないと補助金をもらえない。行政側の理由によって、子どもたちが犠牲になっているのです。
 また、乳児院の後は、児童相談所によって、多くの子どもは児童福祉施設に送られます。児童福祉施設は、もちろん立派な施設もありますが、いじめや虐待が行われている現状もあります。アメリカや英国では、70%の子どもは里親に育てられています。日本では、わずか10%程度です。児童福祉施設は、子ども1人につき補助金をもらっているので、里親に出したがらない場合もあるようです。日本では、里親が決して少ないわけではありません。
 また、虐待の問題についても、児童相談所では1人の職員が抱える件数が多過ぎて、対応できていないのはよく知られています。このような児童福祉行政の実態を考えると、東京都が児童相談所を運営することは、もう限界だと思います。墨田区が児童相談所を運営することで、多くの子どもたちを助けることができると思います。もちろん、重要な責任を引き受けることになります。そこで、山本区長に児童相談所の移管についてのご見解をお伺いします。
 次に、すみだ北斎美術館についてお伺いします。
 昨年の秋に、上野の森美術館で開かれたボストン美術館北斎展に行きました。大変多くの人が集まっていて、平日でしたが1時間も待たされました。北斎の人気はすごいと実感しました。すみだ北斎美術館の運営においては、企画展を行って、多くの人に来てもらうのが基本的な考えです。ボストン美術館展のように、よい企画であれば、相当多くの人が来ると思います。
 問題は、定期的によい企画展を開けるかどうかだと思います。時々やるのでは、恐らくすみだ北斎美術館は、大きな赤字になると思います。多くの北斎の作品は海外にありますから、作品を借りるためには海外の美術館との交渉を早く進めないと、企画展が開催できません。墨田区に、それだけの交渉ができるのか少し心配です。また、指定管理者が決まるのを待っているわけにはいかないと思います。この点に関して、山本区長はどのように対応されるおつもりかお伺いします。
 次に、両国地域の観光対策としての相撲の振興についてお伺います。
 相撲の夏場所に、私もたまたまチケットを友人からもらい、観戦に行きました。大変盛り上がっていて、とても楽しかったです。墨田区としても、相撲をもっともっと売り出していくべきと思います。ただ、私はこれまで、相撲を使った観光振興ばかり考えていました。今は、それを反省しています。相撲協会からすれば、墨田区の観光振興に協力する義務はないわけです。
 そこで、発想を変えることにしました。私たちが力士や相撲協会のために、何ができるかをもっと真剣に考えるべきです。例えば、相撲をやる子どもたちが減っています。そのためにも、墨田区の学校で、もっと相撲を教えることをやるべきでしょう。幕下の力士には給与がありませんから、アルバイトで子どもたちに相撲を教えてもらってはどうでしょうか。また、学生の大会なども墨田区に誘致して、墨田区をアマチュアの相撲のメッカにすることも考えるべきです。また、女子相撲をもっと墨田区でもプロモーションすることを考えてはどうでしょうか。
 また、お相撲さんは、引退した後の生活が大変です。墨田区で、引退した力士の就職のあっせんをしてはどうでしょうか。多くの中小企業もありますし、レストランでも力士が働いていれば、それだけでも観光客には人気が出ます。あまりお金が掛かる事業ではありませんから、是非検討していただきたいと思いますが、山本区長のご見解をお伺いします。
 最後に、住民サービスについて質問します。
 錦糸町駅周辺でのマンションの建設ラッシュが続いています。多くの住民が引っ越してきますので、住民登録して墨田区民として税金を納めていただきたいと思います。しかし、錦糸町からわざわざ区役所に来るのは大変面倒です。錦糸町に墨田区の出張所がないのは、大きな問題だと思います。既に、アルカセントラルには墨田区の関係する事務所もありますから、そこを使えば場所を探す必要もありません。是非検討していただきたいと思いますが、山本区長のご見解をお伺いします。
 これで私の質問を終わります。ありがとうございます。
   〔区長 山本亨君登壇〕

◎区長(山本亨君) ただいまの新しいすみだ、井上議員のご質問に順次お答えいたします。
 最初のご質問は、交通事故対策についてです。
 警視庁がホームページ上で公開している交通事故発生マップを拝見しましたが、墨田区における昨年の交通事故発生件数は23区中17番目とのことであり、ここ数年は着実に減少しているものの、高齢者や自転車が関与する事故の割合は増加傾向にあり、私はさらなる啓発活動等が必要と考えております。
 区では、これまでも、警察、消防、道路管理者、学校等で構成する交通安全対策協議会を設置して、相互の協力体制のもと、毎年春と秋に交通安全運動を行っており、近年は子どもと高齢者の交通事故防止に重点を置いて取り組んでいます。また、昨年秋には、プロのスタントマンにより交通事故を再現するスケアード・ストレイト方式の交通安全教室を、初めて高齢者向けに実施するとともに、すみだまつりでは、子ども向けに自転車シミュレーターによる交通安全教育などの啓発事業も行っております。
 本年6月1日に改正道路交通法が施行され、自転車悪質運転の講習制度がスタートしましたので、所轄警察署と連携し、特に自転車利用者に対する交通ルールのマナーの周知に、より一層努めるなど、今後もさまざまな機会を捉え、交通事故防止のための啓発運動を継続してまいります。
 次に、住宅用火災警報器の設置についてです。
 木造住宅密集地域がある本区では、一つの火災が大きな災害につながるおそれがあるため、住宅用火災警報器の設置率向上は大変重要なことです。このため、5年前に、住宅用火災警報器の設置義務化に伴い、住宅用火災警報器設置事業として、高齢者の世帯に無償で設置を進めてきた結果、設置率の向上が図られたと認識しております。
 したがいまして、今後も引き続き、本所、向島消防署と連携の上、設置義務、設置効果等の周知を徹底し、ご本人から申請していただけるよう、啓発PRを強化してまいります。
 次に、児童相談所の区への移管についてです。
 平成25年度に策定した特別区児童相談所移管モデルに基づき、その具体化に関わる検討を進め、この5月に職員の人材育成や一時保護所の持ち方等についての特別区側の考え方を提示しました。これらを踏まえ、今後はさらなる具体の協議を進めることになります。
 私としましては、墨田区の子どもたちの最善の利益を守るために、児童相談所の区への移管は早急に解決すべき課題であると考えますので、都区協議が促進されるよう、区長会への働きかけを強めてまいります。
 次に、すみだ北斎美術館についてのご質問です。
 すみだ北斎美術館を安定的に運営し、来館者数を増やすためには、ご指摘のとおり、魅力ある大規模な企画展を定期的に開催していくことが必要です。そのためには、海外を含め、美術館同士のネットワークを強固にし、他の美術館から作品を借りることに努めてまいります。
 なお、約1年半後に迫った開館予定時期を考えますと、開館記念展の準備が急がれておりますので、指定管理者の選定準備と並行し、区の主催事業として開館記念展の検討を進めたいと考えております。
 次に、観光対策としての相撲振興策について、何点かご質問がございました。
 私も日本の国技である相撲は、墨田区が世界に誇ることのできる文化、観光資源の一つであると考えています。これまでに、国技館の見学ツアー、朝稽古の見学、ちゃんこ試食ツアー及びイベントを通じてのちゃんこ提供など、相撲協会や相撲部屋と協力して実施してきました。引き続き相撲協会等と連携しながら、観光振興を図ってまいりたいと思います。
 なお、子どもたちへの相撲指導やアマチュア相撲など、さまざまなご提案をいただきましたが、関係機関等との調整も必要なことから、今後の参考にさせていただきます。
 最後は、錦糸町に出張所をつくるべきとのご意見です。
 現在導入準備を進めているマイナンバー制度では、証明書類の添付等の簡素化が見込まれ、また、住民票の写しや印鑑証明書等のコンビニ交付サービスも予定しておりますので、出張所の日常的な役割が大きく変わることが予想されます。
 そこで、今後の出張所業務のあり方や適正な配置については、これらの動向を踏まえ、総合的に検討してまいります。
 以上で、新しいすみだ、井上議員の質問に対する答弁を終わります。